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トレーディング・エクスペリエンスの改革で、一般向けに暗号資産の普及を目指す

暗号資産の次なる展開は?


投資家にとって、2020年は暗号資産(仮想通貨)が投資手段の「主流」になった年として記憶に残るだろう。暗号資産の取引量が急増する中、暗号資産のデリバティブ商品や上場取引型金融商品(ETP)の取引量も増えており、急成長している資産クラスとして、暗号資産はいまや世界中の投資家の注目を集めるようになり、新たな成長機会を生み出している。

昨年、いくつかの暗号資産を主要な投資ポートフォリオのひとつとして採用する動きが続いた。その代表格がビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)だ。特にビットコインが突出しているものの、イーサリアムやその他の競合通貨も分散型金融(DeFi)ブームに乗って人気が高まっており、低金利と量的緩和が一段と支配的となる足元の市場環境で、デジタル資産が今後永続する資産であることを裏付けるかのようだ。実際、暗号資産保険会社エバータスの最近の調査によると、80%の機関投資家が、向こう5年間にインフレや通貨下落のヘッジとしてビットコインに投資すると回答しているという1

暗号資産のデリバティブ取引所であるBybitの共同創設者兼CEOベン・ジョウ氏は、次のように述べている。「ビットコインの時価総額は、2月に初めて1兆ドルの大台に達した。」「中央銀行が景気刺激策の原資とするために貨幣の増刷を続ける中、人々は単一の仲介機関による支配を受けない分散型資産を求めている。その勢いは増すばかりで、ビットコインは転換点に近づいているといえよう。」

実際、規制対象ETPへの旺盛な資金流入や先物の未決済建玉、企業財務部門からのアロケーションを見る限り、暗号資産が今後世界の金融市場でますます大きな役割を果たすようになる可能性が高いとみられる。投資家が今後ますます暗号資産を受け入れるようになれば、こうした投資を最大限に活用するために高度なツールやプラットフォームが必要になるだろう。

一般への普及へ向けて

暗号資産に関する最大の課題の1つが、トレーダー・エクスペリエンスの低さだ。簡潔に言うと使い勝手が悪い。多くの取引所では、短期収益型という経営方針が足かせとなり、投資家のニーズに合った商品を提供できないことが悩みの種となっている。多くの取引所が、過去10年で閉鎖された。2020年1-9月期に限っても、75カ所以上の暗号資産取引所が、ハッキング、詐欺行為、または他の理由で閉鎖された2

「一般への普及のためにはそれに適した商品が必要だ。」とジョウ氏は語る。「暗号資産業界がこれから先も成長を続けるためには、より好ましいトレーディング・エクスペリエンスと取引環境が必要になる。それこそまさに、現時点で暗号資産に欠けているものである。業界全体の変化が非常に速いため、それらを整えるのは難しいが、Bybitは機関投資家や個人トレーダーが使いやすい取引ツールを提供することで、この課題に対応しようとしている。」

主要な課題の1つは、大半の取引所が今日の市場における大量の取引フローを処理するように構築されていなかった点だ。しかし、最近の取引急増を事前に予想できた人はほとんどいなかっただろう。場合によっては、急増した結果、システム障害やメンテナンス目的のダウンタイム(取引停止期間)が生じている。その結果、投資家が一部の取引所を避けることになり、流動性が低下して遅延も生じる。双方とも取引環境の安定性を損なうことになる。

ジョウ氏は次のように付け加えた。「暗号資産の成長が止まることはない。そのため、メンテナンスに割ける時間が限られる上に、根本的な仕組みに関して十分な注意を払う必要がある。そこで当社は、取引エンジンを強化するとともに、証拠金算出の構造を見直して、暗号資産取引特有のニーズに対応できるようにした。結果的に、現在では、多くの機関投資家や個人投資家の方々にBybitをご利用いただいている。」

新しい価値貯蔵手段

商品主導型取引所の実現に向けたBybitの絶えまない努力は、投資家、特にポートフォリオの分散投資を目指すより保守的な機関投資家にとっては良い知らせだ。エバータスの最近の調査では、26%の機関投資家が、年金基金、保険会社、ファミリーオフィス、政府系ファンドが暗号資産の保有を劇的に増やすと予想している、と回答した3

そして60%以上の機関投資家が、少なくとも小幅の増加を予想している。

ビットコインが金に代わるものとして魅力を増している点を考えると、こうした回答も驚くべきことではなかろう。2020年にビットコインと金の相関関係が過去最高水準に達したことから、暗号資産が貴金属に匹敵するデジタル資産に進化しつつある状況がうかがえる。両者の相関係数は、わずか10年前は0であったのに対して、昨年8月には約0.8となった。

ジョウ氏は次のような見解を示している。「ビットコインの方がはるかに好ましい安全資産で、やがて金を凌駕すると思う。しかし、今はまだそうではない。時期尚早であり、価格はまだそれほど安定していない。それでも私は、暗号資産が有望な価値貯蔵手段だというコンセンサスが広まっている、と考えている。ビットコインは、金に匹敵するデジタル資産になりつつある。」

最も優遇されるところに資金が流入するという大原則が、ビットコインだけでなく、イーサリアム、カルダノ(ADA)など、取引高が多い一部の暗号資産にとっても、持続的な追い風になっているようだ。中央銀行による金融緩和、低金利、債務残高対GDP比の上昇が、当面、このシナリオを支え続ける可能性がある。

止まらないBybitの進化

Bybitは商品を重視しており、商品の提供終了にはほど遠い、とジョウ氏は述べている。取引所であるBybitは現在、ビットコイン、イーサリアム、リップル(XRP)、イオス(EOS)、ビットコインキャッシュ(BCH) 、チェーンリンク(LINK)、ライトコイン(LTC)、テゾス(XTZ)を原資産とするデリバティブ商品を提供している。さらに先日、ビットコインの四半期先物と3種類の人気DeFiプロジェクト、カルダノ(ADA)、ポルカドット(DOT)、ユニスワップ(UNI)の取り扱いを開始し、トレーダーの間で高まる需要に応えている。その他、オプション商品の追加も検討している。

「当社は、オプション商品構築チームの編成に取り組んでいるところだ。」と、ジョウ氏は語る。「適切で専門的なオプション取引所を創設し、どんなトレーダーでも、現物・先物間や先物・オプション間の裁定取引などさまざまな戦略を適用できるようにしたいと考えている。ただし、安定性と使いやすい取引環境を優先する点に変わりはないため、当社は急いでいるわけではない。」

将来に関してジョウ氏は、Bybitを暗号資産の中核を成す精神に一層近づけることを熱望している。「Bybitは完全な中央集権型企業であり、経営は集権的に行われている。だがいずれは、非中央集権型モデルに移行し、当社の商品や経営における優先順位を投資家が決定できるようにしたいと考えている。当社は、透明性が高く、より広範な暗号資産コミュニティーと連携した方法で、自社改革を進めたいと考えている。」



[1] Evertas

[2] CoinTelegraph

[3] Evertas